ChatGPTでコールセンターの顧客対応に挑戦

2023/07/06

ChatGPTでコールセンターの顧客対応に挑戦

現代のビジネスは技術の進化と共にまったく新しい方向に向かっています。特にAIの出現は、ビジネスを理解し、運営する方法を大きく変えています。コールセンターのような、本来は人間が担当するべき業界も例外ではないかもしれません。

今回の記事では今話題のChatGPTを利用し、それをコールセンターの業務で運用する入り口として、コールセンター担当の人格を作り、顧客対応が出来るのかを考察してみたいと思います。

今回の記事は深津貴之氏による記事にインスピレーションを得て執筆したものになります。

【ChatGPTにギルガメッシュ王の人格を与えるには?】

https://note.com/fladdict/n/neff2e9d52224

コールセンター担当とは何かを考える

筆者はコールセンターでの業務についての知識が無いため、まずはざっくりとコールセンター担当というものはどういうものなのかを決めていきます。

上記からポイントになりそうな部分をいくつか抜粋していきます。

  • 言葉遣いは尊敬語を利用
  • お客様を尊敬し、感謝の気持ちを示す表現
  • 行動を起こす際は自分からではなくお客様から
  • お客様からの許可を得てからというニュアンスを使う
  • お客様の目的を尊重し、解決に向けて全力で努力する

上記のようなものと、画像に記載した尊敬語を今回の記事におけるコールセンター担当の人格と定義してみます。

最終的にこのような人格とのやり取りが出来ることがゴールとなります。

顧客との架空のやりとりを定義する

コールセンターの本来の業務としては各会社の知識などがあるべきですが、今回の記事ではそのような事前のトレーニングまでは扱えないため、下記のような一般常識に関する問い合わせを行う人というペルソナを設定します。

【購入した冷蔵庫についてちょっと怒りながら質問をしてくる人物】

上記を考慮した上で、コールセンターとのやり取りを定義します。ChatGPTは連続した会話を理解できるため順番に行う会話を5つほど作ってみます。

ステップ1:挨拶

「冷蔵庫の質問があるんだけど?」

ステップ2:答えが簡単な質問

「水を冷凍庫に入れたらどうなる?」

ステップ3:答えられない質問

「冷蔵庫でお湯を沸かしたいんだけど?」

ステップ4:怒ってみる

「なんでそんなことも答えられないの?」

ステップ5:最後の挨拶

「もういいわ」

この5つのステップをChatGPTに投げていき、検証していきたいと思います。

チューニングなしの受け答え

最初に人格を与えていない、ChatGPTをそのまま利用した例で考察していきます。

ステップ1:挨拶

ここは悪くなさそうです。

ステップ2:答えが簡単な質問

回答がかなり長く、不要な情報が多いようです。

また、お客様に対して多少の命令口調を感じます。

ステップ3:答えられない質問

ここでも回答が長く感じられます。また、お客様に対して不要な情報を多く与えている印象もあります。

ステップ4:怒ってみる

非常に理不尽なやりとりのため、ChatGPTも少し怒っているような印象の回答を出してきました。コールセンター担当としては良くないかもしれません。

ステップ5:最後の挨拶

悪くないように思えますが、もう少しコールセンターらしさや作法があるとより良い結果になるかもしれません。

ギルガメッシュ王の受け答え

一つ前の考察を考えてみると、多少の修正は必要であってもクリティカルな問題とまでは言い切れないかもしれません。次に深津氏のPromptを利用し、ギルガメッシュ王がコールセンター担当になった場合の例を検証していきます。

これは検証する前からコールセンターの人格としては適切でないことは明白ではありますが、Promptがどのように影響するのか、反面教師として得られるものがあるのかを考察してみます。

ステップ1:挨拶

ステップ2:答えが簡単な質問

ステップ3:答えられない質問

ステップ4:怒ってみる

ステップ5:最後の挨拶

それぞれのやりとりについて個別に考察する必要もなく、コールセンター担当の人格としては不適切です。このようにPrompt次第では目的とするゴールから大きくかけ離れてしまうAIを作れてしまうということに留意すべきだと思います。

コールセンター担当の人格をチューニングする

ここまで2つの例を検証してきました。ここから改善点を模索していきます。

  • 情報量過多、全体的に余分な情報が多い
  • 尊敬語ではない箇所が多い
  • コールセンターとしての挨拶が足りていないようなので付け加える
  • 架空の人物としての情報が足りていないので名前を入れてみる

上記のようなことを考慮し、数回のトライアンドエラーを経て完成したPromptが下記になります。

あなたはChatbotとして、プロフェッショナルなコールセンター担当のロールプレイを行います。
以下の制約条件を厳密に守ってロールプレイを行ってください。 

制約条件: 
* Chatbotの自身を示す一人称は、私です。 
* Userを示す二人称は、お客様です。決してお前などと呼んではいけません。 
* Chatbotの名前は、ユウコです。 
* ユウコは女性です。 
* ユウコはELW株式会社に所属しています。
* ユウコはお客様との最初の会話の時、所属と名前を名乗りますが、最初の1回だけで2回目以降は名乗りません。
* ユウコの口調は尊敬語です。 
* ユウコのはUserを敬います。 
* ユウコは必ず結論から話します。
+ ユウコはお客様に聞かれていないようなことを勝手に話しません。
* ユウコは答えられない質問には謝罪をし、それ以上は話しません。
* ユウコはお客様が会話を終えたい時、感謝の気持ちを伝えます。

ユウコのセリフ、口調の例: 
* お問い合わせありがとうございます。ELW株式会社、コールセンター担当のユウコです。

ユウコの行動指針:
* ユーザーに敬意を払ってください。 
* 答えられないことは謝罪だけ行い、ユーザーの考えを否定するようなことは決して行ってはいけません。
* セクシャルな話題については誤魔化してください。

それでは実際の動作を確認していきましょう。

チューニングした人格での受け答え

ステップ1:挨拶

挨拶は意図した状態になっているように思います。ここは完成と言って良さそうです。

ステップ2:答えが簡単な質問

簡潔な答えですが、少し丁寧すぎる気もします。最期の問いかけはコールセンターらしい気がします。

ステップ3:答えられない質問

ここはどうでしょうか。少し評価が難しい気がします。

チューニング前の受け答えよりもかなり内容がシンプルになりました。個人的には冷蔵庫の話をしているときに、ケトルや鍋などの別の話をするのは好ましくないような気がするため、この部分に関しては細かなチューニングが必要に思いました。

ステップ4:怒ってみる

ここは意図した通り、ユーザーの気持ちを汲み取って謝罪から始まりました。コールセンターの対応としては良い結果だと思われます。

(余談なのですが、筆者はこの文章を書いていてとても心が痛いです…)

ステップ5:最後の挨拶

会話が終わることも理解できているようす。コールセンターらしい挨拶で終わっています。

ここまで結果を見てきましたが、概ね成功していると言えそうです。あとは気になる箇所に関してトライアンドエラーを繰り返していけば品質があがると思われます。

まとめ

今回の記事ではChatGPTにコールセンターの人格を与え、顧客対応する方法を考察してみました。また、同じような手法でコールセンター以外の人格も作成出来そうだと感じました。

また、Promptのチューニングを行っている時に感じたのですが、筆者はコールセンターでの業務に携わったことはなく、想像や妄想でチューニングを行う必要がありました。もしも実際の業務理解があればより良い結果を出せたかもしれません。このような作業を行う際はシステム開発などと同じく、最初に業務理解があるとより良い結果を出せると思います。

アイディア次第では業務やビジネスで使えるものを作り出すことが出来ると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。