DX推進、今やらなければいけない理由とは?2025年の崖はもう目前
2023/06/01
テレビ、ネットニュース、YouTubeなど、いろいろなところで「DX」という言葉が聞かれるようになってきました。しかしながら、それって結局何なの?自分には関係ない?といった疑問に対するアイデアの一つとしてこの記事を書いています。
極力難しい専門用語などは使わずに書いておりますので、肩肘張らずにさらっと読んでいただけたら幸いです。
Contents
DXとは?
2023年現在、DX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)という言葉は以前に比べて広く広まったように感じます。なんとなくニュアンスは分かるが明確な定義は知らないという方も多いと思うので、経済産業省のWebサイトを見てみたところ、以下のように書いてありました。
DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
要約すると、DXとは、デジタルテクノロジーを活用して企業の文化・風土を変革し、競争優位性を確立すること!とのことです。
IT化、デジタル化との違い
DXと似たような意味の言葉に「IT化」や「デジタル化」といった言葉がありますが、これらとDXは異なるものなのでしょうか?
答えは、厳密には異なるが近い場所にある、という言い方が正しいように感じます。というのも、DX推進という大きな枠組みの中にIT化やデジタル化といった手段が内包されているからです。IT化、デジタル化については文字通りの認識で大きく問題はないと思うので、ここでの説明は省きます。
DXのメリットと必要性
では、DXの定義を再確認したところで、そのメリットや必要性についても確認しておきたいと思います。
DX推進をすることのメリット、それは突き詰めれば「競争優位性の向上」に尽きますが、その要素を噛み砕いてみると以下のようなものが挙げられます。
生産性の向上(業務効率化)
これはイメージしやすいのではないでしょうか?紙に記録していたものを電子化することでチェックの工数を削減したり、自動化できる部分をシステム化することでミスが減ったりといった効果が期待できます。
このように非効率的な業務プロセス全体を見直し、ITの力で効率化を図ることで、結果的に業務に余裕が生まれ、より生産的なタスクに時間と頭を使うことができるようになります。
コスト削減・最適化
アルバイトを雇って行っていた単純作業をシステム化したり、デジタル化することで瞬時に企業活動全体を可視化することができ、適切なリソース配分が行えているかどうかを判断することができます。これによって全体のコストバランスの見直しをすることで、よりコスト効率の高い部分への投資判断ができるようになるのです。
新しいビジネスの創出
急激に変化する社会情勢に対応していくためには、デジタルの力は大いに役に立つことでしょう。
元々企業が持っている商品やサービスと最先端のテクノロジーや最新のビジネスモデルを組み合わせることで、より広い範囲や良い効率でのビジネスが可能になります。
DX取り組みの実態
現在、経済産業省やデジタル庁といった省庁が旗振り役となり、国を上げての一大プロジェクトとしてDXが進められていますが、実際の取り組み状況はどのようになっているのでしょうか。
日本企業のDXの状況
2023年3月にIPA(経済産業省が所管する機関)が発行した「DX白書2023」によると、2021年度(55.8%)から2022年度(69.3%)にかけてDXに取り組んでいる企業の割合は増加しています。
しかし、企業の従業員規模別で見ると、1,001人以上の企業では実に約95%の企業がDXに取り組んでいるのに対して、100人以下の企業では約40%ほどに留まっています。やはりDXは大企業が取り組むもの、というイメージ通りといえばその通りですが、それでも4割の中小企業がDXに取り組み始めている、というのは明るい話題という印象を受けます。
また、同白書には154件のDX事例が載っていますが、そのうち売上高50億円未満の中小企業の例が41件載っていました。内容を見てみると、比較的低コストでより高い効果を出せるようなものも見られ、経営者と従業員の距離が近く、小回りの効きやすい中小企業の方がスピード感を持ってDXに取り組めているということの現れかもしれません。
2025年の崖
DX推進について調べると「2025年の崖」という言葉が語られることが多いことに気づきます。これは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」の中で指摘されている問題です。
要約すると、DX推進をしていくと、経営面、人材面、技術面の様々な課題が立ちはだかり、これらの課題を克服できなかった場合、2025年以降で最大年間12兆円の経済損失が生まれる!と言っているのです。
ここで語られているDX推進に立ちはだかる主な問題は以下の3つです。
- 複雑になりすぎた属人的で老朽化した既存システムを刷新できない
- 旧態依然としたシステムの保守を担える人材の不足
- 業務全体の見直しをすることによる現場からの反発
では、これらの問題も含め、せっかくDXを推進しようと思い立っても失敗してしまう要因を考えてみます。
DX推進の失敗要因と解決の糸口3選
1. 特定の部署やチームに限った限定的なDX
DXで最も重要なことは会社全体でDXの目的を共有し、一丸となって取り組むということです。
よくある例としては、経営層が「DXをやる」と決め、DX推進のための部署も立ち上げたが、結果的にその部署の中やIT系の部署のみでIT化やデジタル化を進め、会社全体に広がらないということがあります。
これにはいくつかの問題が潜んでいますが、解決のために重要なのは、経営層がどれだけDXにコミットできるか、という部分です。専門チームを作って指示して終わりではなく、経営層自らが旗振りをするくらいの気概で取り組む必要があるのです。社長自らが率先してテクノロジーに触れる、使い方を示す。こういったことで従業員の士気も高まり全社が一丸となったDXが進むはずです。
2. DX人材の不足
会社によっては、そもそもDX推進チームを立ち上げようにも、デジタルテクノロジーの知見に長けた人材が社内にいないということもあるでしょう。また、DX人材にはITの知識や経験だけでなく、会社全体を俯瞰したり、率先して組織を変革していくパワーも求められます。こういった人材がいない場合、社内で育成または採用するか、外部に委託するかの選択肢がありますが、それぞれメリットやデメリットがあるため、自社の状況に合わせて選択する必要があります。
社内でDX人材を育成する
メリット:
- 短期的には低コストで済む
- スキルや知見を社内に蓄えることができる
- 現場のことがよくわかっている
デメリット:
- 学習に時間がかかる
- 狭い範囲のIT知識になり、採用するテクノロジーが偏る可能性がある
DX人材を採用する
メリット:
- 短い期間で即戦力の人材を得られる
デメリット:
- 採用コストがそれなりにかかる
- 市場に人材が不足している
外部に発注する
メリット:
- 他社での事例も含めた知見が豊富
- 常に最新のテクノロジーを扱っている
- 全体を俯瞰したコンサルティングからシステム開発まで一気通過で対応できる
デメリット:
- ベンダーの選択が難しい(誤るとリスクに繋がる)
- コストがかかる
3. 既存システムの存在
歴史のある会社の中には、長い間使われブラックボックス化した秘伝のタレのような基幹システムがあったりしますが、これがDXを進める上での大きな足かせとなることが往々にしてあります。運用や保守にもコストがかかり、レガシーなシステムの場合、その保守を担える人材もゆくゆくいなくなってしまうかもしれないという問題もあります。
しかし、企業活動の維持のため、という理由から既存システムを維持・改修することだけに固執してしまうことが多いように思います。
これを解決するためには、いったんフラットな状態で会社全体の業務を洗い出すところから始める必要があります。詳しくは次の項で説明します。
DX推進のおすすめステップ
Step 1:現状の把握と可視化
DXを始める以前に、企業がどのような業務プロセスやシステムを持っていて、どこにどれだけリソースやコストが割かれているかを把握する必要があります。
改めて現場にヒアリングをすることで経営目線で見えていなかった課題が浮き彫りになることもあるので、このステップは非常に重要です。
Step 2:DX戦略を決める
業務全体が可視化されたら、今度はITやテクノロジーを使って効率化していく部分を決めていきます。
このとき、一部の部署やタスクにばかり目を取られて、全体最適の観点から逆行してしまうようなことは避けなければなりません。よくある失敗は、同じ目的のシステム(例えば営業管理システムなど)を複数の部署で入れることによって、その部署内では効率化されたとしても、会社全体ではデータの統合に余計な工数が取られて返ってコスト増に繋がっているような状況があります。
常に会社のビジネス全体が成長するため、という目線でプロセス全体の効率化を目指し、ハンドリングする必要があるのです。
Step 3:実行
戦略が決まったらあとはそれ元にIT化やデジタル化を実行していくことになります。多くの場合、ここでITベンダーなどに作業を依頼することになりますが、ここで気をつけなければならないのは、特にデータ設計や連携方法など、統一するべきところをしっかりと決め、共有した上で進めるということです。これが曖昧な状態で進んでしまうと、最終的にシステム間の連携で追加の工数がかかったりして全体効率化の妨げになってしまうことがあります。
まとめ
DXについてざっくりと解説いたしましたが、多少なりとも理解を深めていただけたでしょうか。
要点をおさらいすると、
- DXは今後の企業成長、生き残りにとても重要!(すぐにでも始める必要あり!)
- 一部の部署でやってもダメ、全社で取り組むこと!
- DXの第一歩は現状の会社全体を見渡すところから。
といったところでしょうか。
恐らく、DXの重要性や必要性については理解いただけたと思うのですが、いざ取り組むとなると腰が重い……という経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
そういうときには、まずはDX、ITのプロフェッショナルに話を聞いてみるのも手かもしれません。
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